(66) 穴を補わせる

なりなりてなり余る下半身は、宿業ありな照りなりな。
 [なりなりてなりあまるかはんしんは かるまありなてりなりな]

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下ネタ回文の長所として前から考えてるのは、回文の意味に穴・飛躍があっても、読み手が適当に補完してくれる可能性が大きいというところです。下ネタは、すべてをあからさまに語るとよろしくないので、しばしば読み手に高度な補完を要求します。一方で回文は、意味の分かりやすいものが作りにくいので、仕方なく読み手に補完を求める場合が多々あります。したがって、下ネタと回文は相性がよい。という理論はどうでしょう。あんまり自信はないんですけど。

今回の回文でも、「宿業」とか「照り」とか、普通に考えると言葉が足らなくてよく分からないけど、それっぽく深読みしてもらえるかなあと。そんな甘え。

短歌回文でも似たようなことが言えそうです。短歌も、欠落した情報を補わないと読めないことが多いので。また、助詞がなかったり文法が崩れていたりしても短歌だとそれほど不自然に見えないため、その点でも回文と相性がよい、かもしれません。でも短歌回文は難しい。一応ストックにあるのでそのうち出てくるはず。


下ネタ回文は普通なら載せませんが、今回のは全体に衒学的な雰囲気があるのでいいかなと。よく分からない理由だな。とりあえずそんな雰囲気が文法のいい加減さをうやむやにしていたら良い感じです。