(83) 夜よ、ああ夜よ

夜、4人はアリアハンに寄るよ。
 [よる よにんはありあはんによるよ]

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 ドラゴンクエストIIIをプレーしたことのある方にしか分からない回文で申し訳ない。(アリアハンは、ドラクエIIIに登場する街です。)

 前回あれだけ書いといてこれなのかよ。でも、「夜」であることにそれなりの必然性があるし、これより良い案は思いつかないし、そしてベタであることを批判されるだけの覚悟をもってこうして出しているわけでありますから。……というほど入れ込んではいませんで、テキトーにやってます。すいません。


 この回文は自分では結構お気に入りなのです。内容もさることながら、作り方が独特だったので。それを少しご説明します。

 「夜……るよ」がベタであることは前回触れましたが、じゃあいっそのことそのベタさを逆手にとって、「夜……るよ」ばっかり作ってみよう、と思い立ったのでした。でも単にたくさん作るだけではつまらないから、これを「カルタ」にしてみよう。「夜、あ……あるよ」「夜、い……いるよ」「夜、う……うるよ」みたいな感じで。あと、最後の「る」は動詞の一部になるように統一しよう。よしこれで順に作ってみよう! の結果が↓これ。

(あ)夜、足掻いた死体があるよ。
(い)夜、妹、オレ、お父もいるよ。
(う)夜、瓜売り瓜売るよ。
(え)夜、絵を描いた対価を得るよ。
(お)夜、お父とお母か弟おるよ。
(か)夜、菓子を食い出す大工を叱るよ。
(き)夜、気を利かせ柿を切るよ。
(く)夜、挫いた肩いじくるよ。
(け)夜、毛虫さん差し向けるよ。
(こ)夜、この欅の木焼け残るよ。
(さ)夜、サナギ脱ぎなさるよ。
(し)夜、死を見つめ罪を知るよ。
(す)夜、スイス人自炊するよ。
(せ)夜、責任さえ姉さんに着せるよ。
(そ)夜、そうも痛くなく体毛剃るよ。
(た)夜、高を括り九九を語るよ。
(ち)夜、違うョ、昼、雹が散るよ。
(つ)夜、釣り船でね、ブリ釣るよ。
(て)夜、鉄火丼3度買ってるよ。
(と)夜、とっくにパニクっとるよ。
  ……(後略)……

後半は上手くないので略。まあ前半で既にありがちなのやネタの使いまわしが多々ありますが。これを続けていって(よ)のところで出てきたのが標記の回文です。
 「夜……るよ」は、回文を真ん中から作っていったときの辻褄合わせに使われることがほとんどですが、あえて「夜……るよ」からスタートしてみたら、普通にやったのでは作れなかったと思われる回文が湧いて出た、というわけで。(そういえば、(48)に「思い入れがある回文」と書いた「夜何かが目覚め、画家になるよ!」も、元はこのときの(な)でした。) いつもと少し作り方を変えるだけで、新鮮な回文が生まれる可能性があるよ、というお話。