ambigram


1年かかってしまいましたが、森博嗣の小説「S&Mシリーズ」のタイトルをアンビグラム(点対称)にするシリーズ、ようやくこれで完結です。
間髪をいれず、さっそく総集編。

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(01) すべてがFになる

1月3日付。結局これがいちばん出来がいいような。「す」が気に入ってます。
「F」を中央に置きたかったので無理が出てますが、その犠牲を払ってもこのほうが読みよいはずだと考えてこうなりました。Fがちょっとカッコいいのは、手元にあったカリグラフィの本を見ながら書いたからです。小文字になってるのは御愛嬌。
igatoxinさんの:これを見ると、「F」を中央に置く必要はとくになかったんじゃないかという気がしてくる。


(02) 冷たい密室と博士たち

1月19日付。酷い出来である。これが最も難しかったと思う。
唯一見るべきところは「冷」のバランスのよさですが、中央付近が酷すぎるのでそんな一字のことなどまったくどうでもよいのであった。
igatoxinさんの:やはり中央部が困難であったっぽい感じ。「密」が綺麗だなあ。


(03) 笑わない数学者

2月7日付。ものすごい見た目になってますが、これは「数」をどうにか処理するためにやむを得ずつけた飾りを、全体にわたって施したらこうなったのです。そのため、「数」は悪くないのに、そのほかの部分、とくにひらがなが美しくないです。デザインセンスがなくていかん。
周りの人の意見を聞くと、意外と読みやすいらしいです。
igatoxinさんの:私のでは「笑」を強引に「者」と対応付けてるんですが、こちらは流れに逆らわず「者+子」と対応付けています。自分はいつも無理をしすぎだ。


(04) 詩的私的ジャック

2月26日付。(一発で「詩的私的ジャック」が変換できて今驚きました。) またおかしな見た目になったのは、「詩」から「ジャック」を切りだすためで、なんだかもう、という感じです。
前も書いたけど、「ジャック」のサイズが他と比べて小さくなってしまったのが心残りです。
igatoxinさんの:素晴らしい対応付けです。縦書き右送りは気にならない。
gigahassoさんの:素晴らしい対応付けです。「ク」はそっちから取るべきだったのか……。バランスがよいです。


(05) 封印再度

3月17日付。シンプルに対応が付いたので、基本的に線の太さを変えずストロークのみで構成してあります。
これは他の人のと見比べ甲斐があります。ぜひ細かく比較してみましょう:
gigahassoさんの
igatoxinさんの


(06) 幻惑の死と使途

3月29日付。なんかカッコ悪いなあ。いつものことだけど。とくにこのときはやる気がなかったみたい。
このシリーズでは、できるだけ文字の並びが自然になるように気をつけてたんですが、その点だけを見れば、これはけっこう上手くいきました。その点だけなんですけど。
冷たい密室と博士たち」は文字の並びが上手くないです。対応付けの都合で「(冷たい密室)と(博士たち)」という解釈で文字が並んでしまいましたが、実は原題は「冷たい(密室と博士たち)」とのダブルミーニングだと思われるので(英題は"DOCTORS IN ISOLATED ROOM"だし)、よろしくない。まあどうでもいいですね。
gigahassoさんの:「途」が忠実でいいなあ。両端は、大域的にはみな同じ対応付けなのに、局所的に微妙に食い違ってて面白い。
igatoxinさんの:中央部の華麗さ! 


(07) 夏のレプリカ

4月26日付。「詩的私的ジャック」もそうですが、カタカナと漢字の対応付けは困りますね。
「ジャック」のほうでは文字のバランスがうまくいかなかったので、こっちでは「夏」を大幅に簡略化することでバランスを取ってます。あんまり成功してないけど。
半濁点が中央に来たのはちょっとした奇跡でした。
igatoxinさんの:カタカナかっこいい……
gigahassoさんの:だまし絵的な面白さです。


(08) 今はもうない

5月10日付。igatoxinさんのアイディアに乗っかって「夏のレプリカ」と対にしてみたら、実は「夏のレプリカ」と対にすべきなのは「幻惑の死と使途」のほうだったという。
シリーズの中でいちばん好評だったのがこれなんですが、そんなにいい出来なんでしょうか。作った本人はあまり分かっていない。
ひらがな・カタカナは、作りがシンプルなので対応付けが難しいですね。
gigahassoさんの:溶けてる感。
igatoxinさんの:さわやか感。


(09) 数奇にして模型

11月17日付。間空きすぎです。
これも難しかった。とくに「奇」が大変でした。
gigahassoさんの:「型」うまいなあ。同じく「奇」に苦労された模様。
igatoxinさんの:「奇」が綺麗で驚きました。「型」は「聖」よりどちらかというと「性」に見える。
ShiroMaguroさんの:「型」うまいなあ。全体に魚介っぽい感じがするのはハンドルネームのせいだけではあるまい。


(10) 有限と微小のパン

1月2日付。一見難しそうなんですが、実際作ってみたらそれほど時間はかからなかったのでした。
「パ」の2つのハライを対にできたところに満足してるんですが、まあ大抵こういう点についての満足は自己満足と相場が決まっているものです。
igatoxinさんの
カー・イーブンさんの
このお二人のと自分のはすごく似てるんですが、中央部分の「と」と「小」の取り方がちょっとずつズレてるところ重要。自分の「と」の作り方のいい加減さがよく分かりますね。カー・イーブンさんの「と微」はきれいだなあ。
gigahassoさんの:上3つを見ると、もうこの類の対応付けしかないのかなあと思いきや、これだけ違うのがちゃんと出てくるから面白い。