ambigram


 読めますか。どうも自分の脳内でゲシュタルト再生が起こっているような気がしてなりません。とくに1字目。


 曲がりなりにもアンビグラムを作っているからには、有名なアンビグラム作品集は読んでおかねばなるまいと思いまして、ジョン・ラングドンの"Wordplay"と、スコット・キムの"Inversions"を購入しました。どっちも名著ですねえ。
 ラングドン先生のは、今さら言うまでもありませんが、驚異的に読みやすく驚異的に美しいです。見たことない方は、こちらにいろいろ作品がおいてあるので是非どうぞ。これとか。ネットで見るよりも本の方がなぜかさらに読みやすい気がした。本に載ってる作品では"Syzygy"が好き。"Symmetry"をひっくり返すと"Asymmetry"というのも素敵。
 一方のスコット・キムの方は、あんまり美しくなかったりあんまり読みやすくないのがちょいちょい混じってますが(失礼)、アイディアに溢れていて楽しいです。本としてはこっちの方が面白いと思う。アンビグラム作品が、読み方や解説をまったく付さずに延々と並んでいて、それぞれの説明は本のおしまいの方にまとめて軽く添えられてる、というスタイルも自分好みです。作品が並んでるところには、作品とページ番号以外何も書かれておらず、ページ番号もページの上下両方に互いに反転して振られているため、読んでるうちに本の天地が把握できなくなる、という怪現象が起こります。
 "Symmetry"をひっくり返すと"Symmetry"だが、"Asymmetry"をひっくり返しても何にもならない!という作品が、人を食っていて好き。あと、"mitsumasa"という謎の文字列のinversionが現われて、なんじゃこりゃ、と思ったらMitsumasa Annoのことだった。おお。(スコット・キムの作品は、ネット上だとここで見られます。)
 読み物部分も面白いです。回文とアンビグラムの類似についても言及がありました(111ページ)。各種のアンビグラムに対応する言葉遊びは何か、という、このブログでも昔話題にしたネタも載っています。それによると、Nega-Posiに対応するのは
  chainlets ←→ canes hilt
という、これはなんと呼ぶのか知りませんが、まあNega-PosiっぽいといえばNega-Posiっぽい。


 アルファベットのアンビグラムは全然作ってないので(作れないので)、2冊読んだところでアンビグラム作りの参考になったかというと怪しいですけどね。アルファベットもぼちぼち練習したほうがよいかなあ。