(118) 回文と空な字音

「促音書いてみろやっ!」
「【っ】やろ? 見て、いかん?」
「お、クソ!」
[そくおんかいてみろやっ っやろみていかんおくそ]

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 こういうのを美しくない回文と言うわけで。


 回文にはいろんなルールがあるものでして、たとえば次の文を回文と見なす流儀があります。
  ダミーだ。
逆さから読むと「だーみだ」で、同じにならないからダーメだ……となるかというとさにあらず、これは「長音は無視してよい」というルールに基づいた回文なのでした。長音は、それ自体独立した音ではなく、前の母音を長く伸ばしただけのことである、という考えから発生したものと思われる。わかんないけど。音ルールの観点から見るとそれなりに自然なのかなと思います。

 別に長音符号「ー」を使ってなくても、たとえば
  打倒ポルポトだ。
は、仮名で書くと「だとうぽるぽとだ」だけど、音では「だとーぽるぽとだ」なので、長音無視ルールによればこれは回文と見なせます。

 こういうのもあります。
  脱皮だ。
これは、促音「っ」を無視して回文、です。長音が無視できるなら促音くらい余裕で無視できます。
  脱皮だっ!
も回文です。
  脱皮だーっ!
も回文です。昔、こういうのを考えました:
  ひったくったバッタと盗ったバッタ喰った日。
谷川俊太郎風だ。逆読みするとなんか面白いです。

 昔どこかのウェブサイトで見たのだと、
  団子だ。
が回文になるルールってのもあってですね。これは撥音「ん」が無視できるんですね。「ん」を無視する、という気分はなんとなく分かる気がする。邪魔者っぽいですもんね。あるいは、古典文学の授業で習うところの「あめり」「なめり」みたいなのが根っこにあるのかもしれないです。わかんないけど。

 ネタ帳を見てたらこういうのを発見しました。
  金持ってねえから買えねー『天文年鑑』。
作ったのをすっかり忘れてたので、見つけたときは何のことやら分からなかったけど、これは回文です。非常に分かりにくいが回文です。さすがにやりすぎです。

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 関係ないけど、こないだこういうクイズを考えました。

……ただのナゾナゾなのだった。