(116) 回文とハ行
「大体、額が痛ひ……」「額が痛【ひ】? 痛【い】だ!」
[だいたい ひたいがいたひ ひたいがいたひ いたいだ]
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そっくりなネタが昔もあった気がしますな。作ったのはこっちの方が前なんですけどね。
音を基準にすると「苦は湧く」が回文になる、という話を前に書きましたが、これをさらに一歩進めたルールというのがあって、それは
「は」と「わ」は無条件に同一視できる
というものです。これは面白いですね。音がどうなっていようと、「は」と「わ」は同じだと見なせるのです。たとえば
鼻毛綯う投げ縄 [はなげなうなげなわ]
は回文です。何それ。
「は」を「wa」と読むケースがある、という理由から、無条件に「は」と「わ」を同じと見なすことにした、というのは少々妙で、興味深いことだと思います。
さらに進んだルールとして、ハ行とワ行が同一視できる、というのもあります。「ひ」と「い」は同じです。「ふ」と「う」も同じです。これは、「は=わ」ルールから帰納されたものなのか、それとも、歴史的仮名遣いで「ひ」を「い」と読むことがあるから、それを回文の世界に復活させたのか、起源は知りません。たとえば
カレイのヒレか
だったら、カレイは歴史的仮名遣いで「かれひ」と書くのでまだ素直だと思うんですが、
ヒロシも面白い [ひろしもおもしろい]
なんかを回文と見なすのは面白ひです。ヒロシ懐かしひです。
同趣向のルールで、「む」と「ん」が同一視できる、というのをどっかで見た気がするが忘れました。古い回文だったかなあ。あと、見たことないけど、たとえば「かう」を「こう」と同一視する、とかも同じ理屈で可能なはずで、うーんと、
使うコツ [つかうこつ]
とか……直観的に分かりにくいなあ。でもまあ理屈は通ってますよね。誰かこのルール使ってください。